いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防
私の頭上で交わされる和やかな会話についていけず、やっと口を開けたのは個室に案内されてからだった。

「常連?」

「まぁね。だってうちのホテルだし」

「あ……そうだったわね」

ランドホテルは國井グループが経営してるホテルだったっけ。そりゃ、小さい頃から家族でも来てるだろう。ランチブュッフェに一度来た事があるだけの私とは全然違う。

相変わらず羨むことさえ出来ないくらいの立場の違いに、チクンと胸が痛む。
それは高校生以来の懐かしい痛みで、私を更にセンチメンタルな気分にさせる。

「こんな高級な店、私には不相応で緊張しちゃうな……」

それが卑屈な発言になって口をついて出ると、涼介は明らかに不機嫌な声を出した。
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