いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防
「なにそれ」

「や、なんか、さ。ほら、服装も仕事帰りでこんなじゃない?それに私、フレンチとか慣れてないから……」

自分が間違った選択をしてしまったのが恥ずかしくてわたわたと言葉を濁したけれど、涼介の声は不機嫌なまま。

「俺だってノーネクタイだし、湊だって恥ずかしい服装じゃないでしょ?そんな卑屈な発言、前は言わなかったのに」

ズクンっと、さっきより大きな痛みが胸に響く。

「ーーーそれは子供だったからだよ。でもごめん、さっきのは不愉快な発言だったね。謝ります」

ぺこりと頭を下げながら、捻くれた気持ちと傷付く気持ちに必死に折り合いをつける。

学生の時にはこんな身分の差なんて気にしなかった。確かに涼介は学園の王子様だったけれど、ただの学生だったし、私も何にも分かっていなかった。
好きとかきらいとか、そんなものを拠り所に一緒に過ごせると思ってたんだ。
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