いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防
涼介と親しくなった反面、その兄である駿介さんと私は会ったことはない。もちろん学校の先輩である「殿」の噂は知っていたけど、五つも違うので接点がなかったのだ。
だから私が知ってるのは文香が話す駿介さんだけ。
「その言い方、やっぱり聞いてるんだ?兄さんが本気出したって」
「ふふっ。文香は困ってるよ。ちゃんと分かってないっぽいのが見てるこっちには面白いけど」
「あいつ鈍感だからな」
「それは否定出来ないなぁ」
でも今夜は珍しく、二人とも踏み込んで話す。それはきっと、大切な人たちが幸せな方向にやっと進もうとしているから。
「長かったからなぁ」
「確かに」
涼介が駿介さんの気持ちに初めて気付いたと言った時からなら、きっと十年近い。
だから私が知ってるのは文香が話す駿介さんだけ。
「その言い方、やっぱり聞いてるんだ?兄さんが本気出したって」
「ふふっ。文香は困ってるよ。ちゃんと分かってないっぽいのが見てるこっちには面白いけど」
「あいつ鈍感だからな」
「それは否定出来ないなぁ」
でも今夜は珍しく、二人とも踏み込んで話す。それはきっと、大切な人たちが幸せな方向にやっと進もうとしているから。
「長かったからなぁ」
「確かに」
涼介が駿介さんの気持ちに初めて気付いたと言った時からなら、きっと十年近い。