いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防
「ーーーそっか、まぁ、それならいいんだけどさ」

懸念が晴れて気が緩んだのか、涼介のワイングラスの減りが早くなる。この話をすると決めていたなら、実は昼間の偶然の再会の時から緊張していたのかもしれない。
心底リラックスした様子を見て、私のグラスの減りも早くなる。

ただし、私がワインを飲む理由は嘘がバレないように、だけど。

「そうそう。ホント気にしないでよ。ね、それより涼介の話してよ。どうしてウェブデザイナーになったの?どうして受注量増やさないの?」

そのまま、私はワインで滑らかになった唇で賑やかに矢継ぎ早な質問を続ける。

「仕事量をセーブしてるのはね『國井』に対する配慮かな。本家に産まれるとね、色々あるんだ。仕事を継いでも継がなくても」

「そっか。相変わらず大変だね」

どこか上滑りする会話に居心地の悪さを感じながら、このまま今夜が終わるように密かに願った。






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