いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防
5.
その夜、久し振りに夢を見た。
高三の冬、最後に涼介と会った日の夢だ。
夢の中で私はこれが夢だと分かっている。だからこれから何があるのか、何を言われるのか知っていて、それでいて回避出来ないでいる。
「やっぱり別れたんだって?」
文香から彼氏と別れたと聞いた、と半年ぶりに涼介から連絡があったのは、その年初めてコートを着た日だった。
冬晴れの公園は急に寒くなったからか、ベンチに座った私達以外に誰もいなくて。それが沈黙を一層引き立てるみたいで、私は不自然にはしゃいだ声を出す。
「うん。なんかね、私とテンションが違ってて疲れちゃった」
「ふーん」
ホントは違う。涼介と距離を取るために作った彼氏だから、だ。自分ではよく分かっている理由は誰にも言うつもりはない。
高三の冬、最後に涼介と会った日の夢だ。
夢の中で私はこれが夢だと分かっている。だからこれから何があるのか、何を言われるのか知っていて、それでいて回避出来ないでいる。
「やっぱり別れたんだって?」
文香から彼氏と別れたと聞いた、と半年ぶりに涼介から連絡があったのは、その年初めてコートを着た日だった。
冬晴れの公園は急に寒くなったからか、ベンチに座った私達以外に誰もいなくて。それが沈黙を一層引き立てるみたいで、私は不自然にはしゃいだ声を出す。
「うん。なんかね、私とテンションが違ってて疲れちゃった」
「ふーん」
ホントは違う。涼介と距離を取るために作った彼氏だから、だ。自分ではよく分かっている理由は誰にも言うつもりはない。