いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防
一人暮らしの祖母が心配なのは嘘じゃない。「湊が一緒に暮らすなら安心ね」と親が賛成してるのも。ついでに興味を惹かれた大学があるのも。

でもそんなのは全部後付けの理由だ。
私はここを離れたかった。涼介の近くから離れて、彼のいない場所で、誰も彼を知らない場所で生きてみたかった。

そうしたら彼への想いが少女じみた憧れだった事も確認出来て、また友達になれると思った。

「母親の出身地だから小さい頃から何度も遊びに行ってるし、不安はないの。今は一生懸命勉強して合格するだけ」

そうしたら、きっと私の人生は上手くいく。噛み締めるように呟く私見て、しばらく黙っていた涼介がゆっくりと口を開いた。

「逃げてるんじゃないんだよな?」
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