いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防
図星過ぎて反応が一瞬遅れた。

「ま、まさかぁ……」

適切な返事も浮かばない。そして、涼介は小さく視線をそらせた事さえも見逃さなかった。

「逃げるくらい好きだったなら、もう一回相手にぶつかってこいよ」

「はぁ!?何言ってんの?好きじゃないし、別に逃げてないわよ」

逃げてるのは失恋からじゃなくて、涼介からだ。なのに完全に勘違いしたのか、追求は終わらない。

「大学どころか住む場所も変えるなんて、よっぽどだぞ!逃げてるってちゃんと自覚しろよ。でないといつまでたっても前に進めない」

「だから逃げてないって!大学も住む場所も私の意思よ。私が行きたくて行くの!」

怒鳴り合い一歩手前の言い合い。私はともかく、涼介がこんなに声を荒らげるなんて珍しい事だった。
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