いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防

そのまま、振り返らずに帰った。ベンチに残った涼介の視線はずっと背中に刺さっていたけど、もう一度向かい会ったら泣いてしまいそうだった。

好意を寄せる相手から、自分のことを「誰も好きにならない」と断言されたのはかなりキツかった。きっと交際を申し込んで断られるよりもキツかっただろう。

女性として全否定された気分で、その日から泣き続けた。泣き過ぎて、伊達眼鏡とマスクを付けなければ登校出来なかった。私が泣くのは失恋のせいだという周りの勘違いも最大限に利用して、心いくまで泣いてやっと整理をつけた。

忘れる事も立ち直る事も出来なかったから、受け入れる事にしたのだ。受け入れて、その上で生きていく事にしたら、少し楽になった。
涼介を忘れる必要も彼より好きな人を作る必要もなくなったから、楽に生きられるようになった。