いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防
ゆっくり起き上がってコーヒー用のお湯を沸かしながら、トースターにパンを突っ込んだ。

祖母と二人暮らしだった大学生活を終え、私は実家に戻って就職した。私が戻るタイミングで祖母もこっちに来て同居すると決まっていたので、心残りもなかった。

「あー。心残り、なかった事もないか」

夢を見たせいか、芋づる式に過去の記憶が出て来てげんなりした。

大学時代も告白してくれた相手と付き合った。この時は元々仲の良い友達だったからか、近くに涼介がいなかったからか、長く続いた。

恋愛の全てを彼と経験して、一緒に過ごす事が当然になって。正直、相手が将来を考えてくれているのも感じていた。私も不満はなかった。
でも、積極的にはなれなかった。それどころか祖母の転居と就職を理由にして実家に戻る事を決めた。
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