いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防
「あそこで手を打って結婚しとくのもアリだったなぁー」

帰京の理由にした祖母と離れ、就職して半年も経たないうちに一人暮らしした分際で上から目線の発言をする。

相手の彼に心底失礼な発言だけど、割りと本気だ。結婚してそのまま関西にいたら、今の会社でも働いていないし涼介にも再会せずに済んだ。

とはいえ、今更考えてもどうしようもない。重い気持ちで昨日携帯に追加されたアドレスを睨んだ。


「仲直りしたんだから構わないだろ?」

軽く笑みを浮かべて携帯を出せと促された時どうして良い言い訳が浮かばなかったのか、心底悔やまれる。
でもプライベートな電話を職場にかけて来られるのも困るのだから仕方ない。

『國井涼介』

いっそアドレスを消してやろうか、と思ってまたため息が出た。相手に私のアドレスを教えてしまったのだから、こちら側が消しても意味がない。
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