いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防
過去の苦い記憶がまだ針みたいにチクチクと痛むのを、見ないふりでニコリと笑顔を作った。

「私の恋愛話はもぅ終了しません?梨花さんの足を引っ張らないように午後からの打ち合わせの資料、読み込まなきゃですし」

「うん、そうだね。念願叶って伝説のウェブデザイナーと組めるんだから、念には念を入れて準備しないと!クライアントのデータはもう揃ってる?」

「はい。確認して頂きたいので、今データ送りますね」

仕事モードに入った梨花さんはガラリと表情が変わる。このオンオフの切り替えのうまさが仕事もプライベートも充実させてる秘訣なんだろうか。



私達が働いている「アーバンリサーチ」はメディアやネットなど様々な媒体を使って企業のイメージプロデュースやブランディングをする会社だ。
会社自体の歴史は浅いが業界では中堅どころで、大きな案件から小さくて冒険的なものまでフレキシブルに対応できると評価されている。

まだ四年目の私が担当として任せてもらえる案件は小さなものばかりだけど、勉強として大きな案件にもアシスタントとして入る毎日は刺激的で楽しくて、やりがいもあって。正直、恋愛の為に犠牲にはしたくない。
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