いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防
「なんか最近、柏木ちゃんも頼もしくなったわね。今回は私、楽できそうかしら?あっ、でもなー‥‥」

指示にテキパキと反応する私を嬉しそうに見ながら、ふいに梨花さんが眉をひそめた。

「なんですか?」

「なんかね、さっきの恋愛話の時と熱が全然違うなーって」

「あー‥‥‥私、恋愛向いてないんですよ」

「柏木ちゃーん。そんな事言ってたら、仕事の幅が広がらないよ?」

「幅、ですか?」

「そう。恋愛って自分以外の価値観や考え方が一番素直に受け入れられるから。そうでないと自分の考えが固まっちゃって素直になれないでしょ?」

『素直じゃない』

さっき私の胸を刺したばかりの苦い記憶と同じ言葉に動きが止まった。

「だからさ、柏木ちゃんにはもっと積極的に恋愛して欲しいなって先輩は思うわけですよ、って柏木ちゃん!?」

「えっ?あ、あぁ、すいません。あの、去年のデータが見当たらなくて」
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