いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防
「そりゃまぁ、家族だからね。両家揃っての会食にも参加したし」

「じゃあ、私から何が聞きたいのよ?」

「そうだなー。文香が親友になんて惚気たか、とか?」

悪戯っぽく目を細めた涼介が楽しそうに笑いかけてきた。すると二人を包む空気がぐっと糖度を増す。

近頃増えたこの親密で甘過ぎる雰囲気に気持ちの制御が効かなくて、私はどう対応して良いか分からない。結局いつも無理矢理に話題を変えて、必死に甘さに気付かないフリをしている。

「うん、幸せそうだった。こっちが照れちゃうくらい恥ずかしそうにいっぱい惚気ちゃうから、参ったわ」

今も甘い空気を振り払うみたいにワザとぞんざいな言い方をしたけれど。文香について話した途端、昨日の会話を思い出して顔がほころんでしまう。
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