いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防

「私ね、自分の気持ちに素直になっちゃいけないとずっと思ってたの。思い込んで、そしたらどんどんその方向に思考が進んで、冷静に考えられなくなってた。本当はそんな事なくって、私の思い込みで苦しんでた人もいたのに。だからね、これからは思い込み持たないようにしようと思って。そうしたら、少しは賢くなれそうでしょ？」

「自分を思ってくれる人の為に自分を大事にしなきゃいけない」と駿介さんにお説教されちゃったと笑った文香は本当に幸せそうで、眩し過ぎて。

きっとこれからも、周りに気を遣いすぎて、自分を後回しにし過ぎる文香の事を理解して守ってくれるんだろう、と私まで胸がいっぱいになった。


そんな文香との会話を思い出して、ふっと視線を上げると、涼介は相変わらず私を優しく見つめたまま。視線を上げて固まった私に、どうしたのかと尋ねるように首を傾げた。