いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防
「嘘つけ。ずっとぼーっとしてたくせに」

その元凶の涼介は甘さ全開のまま。今も話しながらずっと私頭を撫でているし、もう片方の手は私の手と恋人繋ぎしている。

「ーーーどこに行くの?」

この状況を振りほどきたいのか、どうしてこうなったかの説明がして欲しいのか、それともこのまま涼介の熱に甘えてしまいたいのか、自分でも分からなくて。それについて考えるのをやめた私は、とりあえず以外で気になる事を聞いてみる。

「俺の仕事場で秘密基地」

機嫌良く涼介が答えたタイミングで、ちょうどタクシーが止まった。

「ここ?」

「そう、ここ」

降りたのはタワーマンションの前。白い外装を呆然と見上げる私を繋いだままの手で引っ張って、笑顔の涼介は進んで行く。
< 76 / 118 >

この作品をシェア

pagetop