いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防
ミズイ リョウ。
新進のウェブデザイナーで業界での評価も高い。仕事の大小に関わらず自分が納得した依頼しか受けないのと、仕事の受注量の自体の少なさで、受けてもらえればラッキーだと小躍りすべき存在だ。

秘密主義者で、取材も受けないしパーティにも出ない。だから彼と会える機会は打ち合わせだけだけど、それさえも必要最低限。普段はメールのやり取りだけで終了で、顔を見たことがあるのはごく少数。もちろん、私も梨花さんだって会ったことはなかった。だから、

「予想もしてなかった‥‥」

ポツリと呟いて、向かいに座って私の渡した資料を読み込む彼をそっと観察する。
少しウェーブのかかった長めの前髪をセンターで分けて流しているのも、少しタレ目な瞳も薄い唇もノーブルな気品を感じさせる。相変わらず文句なしのイケメンだ。

Vネックの黒いシャツにグレーのジャケットとジーンズというカジュアルな装いなのに、すらりと長い手足と均整のとれた身体だからかファッション誌もモデルみたいだし。ゆっくり眺められるこの時間を「眼福」というのだろうか?などと馬鹿な事を考えてしまう。

「‥‥‥ですか?」

「ーーーえっ!?」
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