いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防
とは言え、凄く欲しい物がある訳じゃない。自分が好きなグリーンや雑貨の店を見てまわって、最後はいつもの花屋に辿り着く。私が一人で過ごす休日のお決まりのパターン。特別な事は何もないけれど、少しずつ心が解れて癒されていくのを感じる。

「いっぱいいっぱいだったもんなぁ」

文香の報告を聞いて、涼介からの告白を聞いて。怒涛の二日間だった。

お気に入りの観葉植物を眺めながら、今度はどの子をうちに連れて帰ろうかと悩んでいる時、不意に懐かしい声に呼ばれた。

「柏木?」

「え?川原くん?」

振り向いた先にいたのは四年ぶりに会う顔。

大学時代、一緒にいる時間は少なくても心地良い関係を築けた相手であり、過去最長に私の彼氏であってくれた人、川原聡が立っていた。
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