いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防
「うわぁ、凄い偶然!」

「うん、凄い偶然」

再開を単純に喜ぶ私に、川原くんはちょっと残念そうな笑顔を見せる。その顔がなぜか、引っかかった。

「何?」

「いや、なんでも。それより柏木、なんでここにいるの?」

「それはこっちのセリフ!大阪で就職した川原くんがなんでここにいるの」

関西の大学を出て大阪の商社に就職したはずだ。

「今日は出張。休日なのに仕事ばっかりでさ、お詫びとお土産を兼ねて花でも買っていこうかと思って」

言いながら側にあるガーベラの花に触れた川原くんの左手には指輪が光っている。

「結婚したんだ。新婚?」

「まぁな。もうすぐ一年で、来年にはパパになる予定」

「わぁ!パパになるんだ、凄いなぁ」
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