何度でも



「颯真様の恋人ですよね」

「え?」

声をかけられた方をみると、白いエプロンと白いコック帽………………恐らく今日の料理を作った人だ。


「四ノ宮美桜と言います」

「四ノ宮様ですか。颯真様は旦那様の帰りが遅いため、1人でいつもご飯をお食べになっていたのです」

「颯真から聞きました………」

「そうですか………。今日は四ノ宮様が一緒のおかげか楽しそうにお食事になっていました。ありがとうございます」

「いえ、私は………」

「奥様のような叱ってくださる方もいないので、苦手な人参もいつも残していらっしゃいましたが、驚きましたよ…………………やはり大切な方の言うことは聞くのですね(笑)」

やはりいつも人参残してたか……………。


美紀子さん、入院中だもんね。

「………………またいらしてくださいね」

「えぇ。呼んでくだされば私はいつでも」


もしかしたら今日ここに呼んだのは暇だからではなく、寂しかったからなのかな?

何となくそんな気がする……………。



「美桜!じゃあ、行くか」

「うん。じゃあ、みなさんまた!」

周りの方に声をかけて、私と颯真は玄関へと向かう。



玄関の方は何だか少し騒がしい様子。

一体何だろう?


メイドさんたちもたくさん……………。


颯真も思わず立ち止まってる。


ジッと見ていると、その中から1人男性が姿を現した。

爽やかな感じで、出来るエリートビジネスマンって感じだ。

この人は?


「颯真、久しぶりだな」

「えぇ。……………お父さん」


……………………お父さん!!??


この爽やかでカッコイイ人が!?


「ん?その方は?」

あ、やっぱりそうなるよね。

「この方は四ノ宮美桜さん。今、僕とお付き合いしています」

うわぁ………………なんかご家族の方にご紹介されてるとか、ドキドキするね!!!


「お初にかかります。四ノ宮美桜と申します。颯真さんとはお付き合いさせていただいております」

やっぱ最初が大事だもんね!

「…………四ノ宮……か。聞いたことのある名だな。親は何を?」

「え…………?あ、普通の会社員をやっています」

「………………そうか」

「お父さん。僕は家柄とか関係なく、彼女を大切にしています。僕は彼女が好きなんです」

「遊んでばかりいたお前にしては成長したものだな。私は少し疲れた。部屋で休むとする」


……………………ドキドキした………。

やっぱ家柄って必要なのかな?


「美桜………行こうか」

「あ、うん」










このときは思ってもいなかった。

まさかあんなことが起こるなんて………。


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