何度でも
次の日。
私は何を考えたのか、美紀子さんのお見舞いに来ていた。
未だに目を覚まさない美紀子さん。もう、起きてもおかしくないのにね。
話したいことたくさんあるよ。
颯真と付き合ったこととか。
そんで、振られたこととか。
他にも、颯真が嫌いな人参を食べた話とかしたら、絶対美紀子さん喜ぶのに…………………。
お願い…………せめて美紀子さんだけは起きてよ……………。
「志乃田さんの娘さん?」
あ、看護師さん…………。
「いえ…………友達のお母さんです」
「…………そう。こうしてお見舞いにきてくれるだけでも志乃田さんスゴく喜んでると思うわ」
「だといいんですけど」
「きっと志乃田さんはまた目を覚ますわ。今は迷ってるだけで、諦めなければきっと」
「どうゆうことですか?」
_____プルルル……プルルル…………。
やばっ!!マナーモードするの忘れてた!!!
「失礼します……」
知らない番号…………誰だろう?
「はい。四ノ宮です」
「四ノ宮美桜さんですか?」
男の人の声……………でも、この人の声1回だけ聞いたことがある気がする。
「誰ですか?」
「あ、すいません。新城晃と言います」
新城晃って………私のクラスの人!!
あと颯真とよくつるんでる人だ!
この間学生証を拾ってくれたのもこの人。だから、声聞いたことあったのね。
「なんで、電話番号知っているの?」
「まぁ、それは秘密ってことで(笑)」
怖い……………。
どこから流出してんの?私の携帯の電話番号。
「それで、何の用かしら?」
「俺さ、颯真から君と付き合ってることは聞いた。四ノ宮さんとラブラブそうだったから安心してたよ」
「それは残念ね。別れたけど」
「それを聞いたとき信じられなかった。颯真の事情も聞いた」
事情?あぁ、あのことね。
家のためってやつ。
「それで、私に何を言いたいわけ?」
「学生証を拾ったとき思ったんだ。下の名前って美桜じゃん?」
今更?
「そうよ」
「桜好きだよね?」
何でそんなこと聞くのよ………。
「そうだけどそれがどうしたっていうのよ」
「もしかして、過去に颯真と付き合ってた?」
………………………なんで?
「幼なじみの子…………だよね?」
何でそれを知ってるの!?
「………………やっぱり。拾ったとき思ったんだ。俺は颯真が記憶を失う前から友達だった。よく、君のこと言ってたよ。向こうに幼なじみのやつがいるんだって」
……………颯真がそんなことを………。
「付き合いたてでスゴく惚気けてたよ。名前は教えてくれなかったけど、ある日颯真は俺にこう話したんだよ。『好きなやつは桜が好きなんだ。名前に桜が入っていて、名の通り美しい桜のようだよ』って」
……………………嘘だよ………。
いつも私に言ってくれないくせにアイツ。
「それで拾ったとき、君の学生証の入った手帳の柄は桜だった。大雑把かもしれないけど、それで一部が繋がったんだ」
「仮に私がそうだとして、どうしてほしいのよ?」
「本当にこのままでいいのか?」
…………………どういう意味よ。
本当にこのままでいいのかって?
だってどうすればいいのよ。
「例え立場が違っても、好きなら追いかけろよ。颯真を追いかけて来たんだろ!?それならさ、そのガッツをここで見せろよ!!!」
……………なによ。
好きだよ?そりゃもちろん。でも、颯真が私に振り向いてもらえない状況じゃ意味ないじゃん。
「諦めなければ、また戻る!実際にまた付き合えたんじゃないか。ここで行かなきゃ後悔するぞ!!」
………………言われなくて行くもん。
「颯真は?」
「お見舞い中だ。大体のお見舞いは最初で決まる。乗り込むんだ」
「分かったわ」
「お見舞いの場所は…………………………」