何度でも

side美紀子




「ん………………ここは?」


気がつくと病室のベッドの上だった。

「…………美紀子?」

「あなた…………」


そこにいたのは椅子に座る私の旦那…………渉(わたる)。


「お前…………目が………覚めたんだな…………」


今にも泣き出しそうな顔をしてる。

「会社は?」

「今は少し抜け出してる。お前いつまで寝てる気だったんだ……………………本当、覚まさないかと思ったよ………」


心配してくれたのかしら?

「私、言いたいことがあったの」

「なんだ?」

「昔みたいに戻りたいな…………。仕事も大事だけど、子供に無理に押し付けないで。それで、また家族3人笑いあえる関係に戻りましょう?」


美桜ちゃんがいった。

希望があるって。


「…………………………そうか。俺が必死に肩書きや会社ばかり追い求めるせいで、お前らには辛い思いさせてたんだな。会社を大きくすれば家にもお金が入る。そして、みんな幸せになれる。そう思ってたのは間違いだったのか…………」


「違う。あなたが頑張ってくれたおかげで確かに私達は暮らせた。でもね、無理にしなくていい。肩書きなんていらない。ありのままのあなたを受け入れてくれる企業と手を結ぶだけでも十分だと思うわ」


「美紀子…………………………そうだな。颯真もお見合いは嫌みたいだ。あれは白紙にしよう…………」


「あなた颯真にお見合いさせようとしてたの!?美桜ちゃんという子がいるのに……………」

「美桜って、四ノ宮って子か?」

「えぇ、そうよ。可愛らしい子でしょ?私がここに戻ってこれたのも美桜ちゃんのおかげ………………あ!!!!待って…………美桜ちゃんは!!??」

「颯真に聞けば分かるんじゃないか?あ、でも縁切らせたから知るわけないか…………」


「一応聞いてみましょう。携帯貸してください」


_______プルルル…………プルルル………………。


「…………………………お父さん何ですか?」


「久しぶりね…………颯真」

「お………母さん………?嘘だ…………」


「嘘じゃないわ。さっきね、目が覚めたの。美桜ちゃんに会って、説得されたの。…………美桜ちゃんは?」


「……………美桜は………美桜は………今、闘ってる」

「どうゆうこと?説明しなさい」

「車にはねられて、意識不明の重体。今夜が峠と言われた」

美桜ちゃん…………っ!!!


「颯真。あなた男でしょ?しっかりしなさい。美桜ちゃんの手を握って、名前を呼んだり必死に呼びかけなさい」

「…………………わかった」


これでいいわね。

あのとき美桜ちゃんも彷徨っていたのね。

それでもって、私を帰らせた。


相変わらずお人好しね…………。



絶対死なせたりなんかしない。


美桜ちゃんは助けるわ。



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