何度でも



あのあと、看護師さんから3人揃って怒られ、隣のトメさんには謝り、私専用の車椅子を頼んでもらうことになった。


 お母さんやお父さんもわざわざ集まってくれ、元気そうな美紀子さんも姿を現した。


「ねぇ颯真」

「なんだ?」

「私、ケーキ食べたーい」


「退院したらな」

冷たいなぁ〜………。


「私誕生日過ぎたんですけど」

「起きないお前が悪い」

「何それ!!!酷い!!!」


せめて祝ってよ………………。

もういい。ふて寝してやる!!



「美桜」

「…………………」

「おいって」


「………なに?」


「手出せ」

言われるがまま手を出す。


すると何かひんやりするものが指に当たった。


「何これ?」

気になり布団から出てくると指は指輪がはめられていた。


「誕生日プレゼント。安っぽいけど今はそれで我慢な。大人になったら、もっといいやつをプレゼントするから」


「それって…………………」


「プロポーズだよ…………お前頭いいんだから察しろよ」

「………………颯真にしては頑張ったじゃん」


「調子乗るなよ、ブス」

「うるさいな………アホ」

やっぱ颯真とはそうじゃなきゃね(笑)



「お前も起きたことだし、来週俺の母さんのお祝いパーティーを開くんだ。お前もこい」


「私も!?」


「どうせ元気だろ?」

「病人をもっと丁寧に扱ってくれません?」


「起きて真っ先にどっか行くような女だろ?もはや常識が通じねぇよ」


……………………これでもテスト良いのに。


「まぁ、大丈夫だったら行くよ」


気になるのは学校の出席日数……………。


「学校は安心しろ。休学届けだしてるから」

それなら安心だ。


「じゃあ、行く」

「決まりだな」



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