何度でも
✽
「うっわ……………人多い………」
「そりゃあ、業界のやつらも呼んでるしな」
取りあえず、ケーキ食べたいなぁ。
「ねぇ、颯真。向こうに連れて行ってよ」
「仕方ねぇな…………」
車椅子だから少し不便なんだよね。
「食いすぎるなよ」
「大丈夫だって♪」
「話聞いてもいねぇ…………」
チョコケーキに……イチゴタルト!!!そんで、マカロンにカヌレ♪♪幸せ〜!!!!
「あ、俺挨拶言ってくるからお前はそこで食べてろ」
「お父さんいるから大丈夫なんじゃないの?」
「一応俺もしとかないとな。時期社長だし(笑)」
颯真は親の会社を継ぐこと決めたらしい。
関係に関しては、家族とも良好な関係に戻れたらしく、スゴくご機嫌だった。
私も何か見つけないとなぁ…………。
「そこの方よろしくて?」
うわ……………なんか女の人5人集まってきたんですけど……………。
「志乃田様とはどんな関係で?」
「見たことないけど、どこのお嬢様!?」
うわぁ…………最悪。
「颯真とは……」
「まぁ!!!気安く呼び捨て!??信じられない!!」
いやいや………言わせてくれよ。
「待ちなさい。この方前の学園で見たわ!!一般の子よ」
あ、この人学園の人なのか。
見たことないけど、何年生だろう?
「卑しい身分で志乃田様の隣に立とうなんて、1万年早いわ!!!」
卑しい身分とか言われちゃったよ。腹立つなぁ………。
手足使えないし、頭突きしようかしら………。
「待ちなさい、美桜」
「お父さん!??」
なんでいるの!!??
そこ疑問!!
「あなたが、この子の父親?」
「えぇ」
「ちゃんと教育してんの?全然なってないんだけど!!!」
「すいません……」
ん?なんか周りがザワついてる。
美味しいデザートでもあるのかな?〈それは違う〉
「ふん!今度から立場をわきませなさい!!」
コイツ、とことん苛つくなぁ。
「こら!!!!桃江!!!!今すぐ謝りなさい!!!」
「あら、お父様。なぜですの?」
「こ、この方を誰だと思っているんだ!!!!」
ん?
「四ノ宮グループの社長だぞ!!!!!」
「え!!!!!」
四ノ宮グループって何だろ?
そうゆう枠組みみたいな?
「四ノ宮ってあの!?」
どの?
「普段はこんな公な場所にお越しにならないから、知らなくて当然だが………無礼極まりない!!!」
「ひぇ〜!!!すいませんお父様!!」
何だろう、このコント?
「娘が卑しいとなれば、私も卑しいですな」
「そ、そんなことはありません!!!大変失言が過ぎました!!」
「………では、契約は続行で」
「ありがとうございます!!!!」
わけが分からない…………。
「俺も知らなかった………美桜の父さんってあの四ノ宮グループの社長だったんだな」
「意味が分からないんだけど」
ただの会社員じゃなかったの?
「四ノ宮グループは志乃田グループと同じくホテル業で1・2位を争う会社………。他にもたくさんの経営をしているいわゆる大企業…………権力もカーストクラスさ」
パッとしないけど、なんかすごいね!
「まぁ、俺のとこの会社もスゴいんだけどな〜」
「やはり、四ノ宮ってのは、四ノ宮悠二(しのみや ゆうじ)さんの娘でしたか」
「あ、お父さん」
……………颯真のお父さん。
「久しぶりです。公共の場で会うのはいつぶりかな?」
「さぁ、覚えていない。私たちの代もそうだったが、子供の代も大変になりそうだな(笑)」
「残念だが、子供に会社は継がせない」
「それは?」
「大変な思いをさせたくないからだ」
別に私は良いのに。
「子供には子供の道を歩ませてあげたい」
「そうか」
「お父さん。私継いでもいいよ?」
「え?」
「ちょうど経営の勉強に興味持ってたし。継いでみたい!」
ある意味ちょうどいい。
「いいのか。お父さんは厳しいぞ?」
「えぇ。大丈夫よ。覚悟はできてるから」
「そうか…………。そういえば、久遠さんのとこ来てたよ」
理沙?
「ん?知らないのか?」
「何が?」
颯真は知ってるのかな?
「久遠とこのじいちゃん、お前が入院してた病院の医院長」
……………………はい!??
「まぁ、この業界じゃ有名だぜ?理沙の親父は外科医だし」
マジかよ…………………。待って、じゃああの時の後ろ姿は。
「こら、理沙」
「え?なんで……美桜が……………」
「お前なんで言わなかったんだよ」
「………ごめん。美桜が私のことも一般人って言ってくれてたから、言い出しにくくて………」
「…………………」
「別に騙すつもりはなかった。それに隠し通せるとは思ってなかった」
「まぁ、そうだよな。コイツの父ちゃん四ノ宮グループの社長だし、いずれはバレるな」
まぁ、私があんなこと言ったから合わせてくれてたんだろうな………。
「別に隠したからって嫌いになんて…………ならないし」
唯一の親友だもん。
「理沙は医者になるの?」
「…………たぶん。なりたいとは思ってる。大学行って医者になって、具合の悪い人を救う。それが夢かな」
…………………いい夢じゃん……。
そっか。みんなそれぞれ夢を持って、それぞれの道を歩んでる。