何度でも



________ガラッ。



「「「「「きゃ〜!!!!!」」」」」


_____っ!!!??

何!!??


ドアの開く音がしたと思ったら、一斉に上がる女子の悲鳴………………………に近い歓声?

「何だろうね?人気な生徒でも来たのかな?」

私も理沙も、その歓声に気になり、ドアの方を見てみるが、女子が取り巻いて、中々見ることが出来ない。

「ねぇ、今日の放課後、私(わたくし)と遊びに行きません?」

「父が新しい事業を始めましたの。リゾートホテルの中にプールなのですが、ぜひ私(わたくし)と!」

会話を聞くだけで、その女生徒の家柄が凄いことが分かる。

「あ、美桜あれ見てよ。あそこにいるの、全国に存在する有名リゾートホテル、『HoneyLemon』の社長の娘、九条 愛子(くじょう あいこ)なんだけど!しかも、その隣でアピールしてる子は、政治家の墨田 玄瑞(すみだ けんすい)の孫、墨田 千恵(すみだ かずえ)!」

へー、『HoneyLemon』って言ったら、雑誌で載ってたけどホテル業界でトップ5に入ったホテルじゃん!

墨田玄瑞も知ってる。

党の幹部の人だ。

選挙では必ず当選をするっていう、民間の支持率も高い。

やっぱりお金持ち学校だけあって、有名な人たちの子供がいっぱいいるのね。

「でも、よく理沙知ってたね?」

社長や政治家はまだ知ってるとして、その子供だとか孫だとかは顔見ても分かんないや。

「え!あ………、たまーに雑誌に載っててそれで見たの!」

へー、雑誌にも載るってあの子たちすごいなぁー!

で?あの中の人は誰なんだろ?

これほどの有名人が集まるんだから、よほどの有名人なんでしょう?

「ごめんね。今日の放課後は生徒会の仕事があるから無理なんだ」

ん?この声…………………。

「次の日でもいいかな?」

「うん♡生徒会の方が大事よね♪頑張ってね!"颯真"くん」

颯真…………………くん?

「あ、美桜……………アレ」

「うん。見えた」

そこの中心にいたのは、まさかの颯真だった。

お前かーい!!!

「相変わらず人気者ね〜。彼女というものがいながら、約束なんかしちゃって」

んー…………、やっぱなんか違和感なんだよね。

気持ち悪いというか、別人というか。

まぁ、3年も経てば人は変わるだろうけど。それでも違和感。


「あ、良かったね!近づいてきたよ!!!」

私と目があったかと思うと、スタスタと近づいてくるソイツ。

久しぶりに目があい、こうして目の前にいることが嬉しいはずなのに、何でだろう。悲しい。この、感情はなに?

「"四ノ宮さん”」

「……はい」

「入学式での挨拶、とても素晴らしかったです。とても優秀な方がこうしてインディード学園に入られることを、嬉しく思います」

ニコニコスマイルで話す、この男子生徒。

「家柄など関係ない。貴女方はA組の仲間です。これから、僕たち一同と楽しい思い出を作りましょう」

_______パチパチパチパチ!!!

話し終わると一斉にあがる拍手。

ただ、私には1言言っただけなんですけど?

「なんて言うか……………他人行儀?まぁ、この学校は特殊だし、身内でもあれが当たり前なのかな?」

なんて、理沙は言うけど。

たぶん、違うよ。何かがやっぱり違う。

「美桜?」

「理沙……………あの人は誰なの」

「え?誰なのって………颯真くんじゃん。何言ってるの?」

うん。そうなんだけさ。

……………………………まぁ、いいか。

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