何度でも


「あ、そういえばさ!颯真くんのお父さんはともかく、あの人なら美桜のこと知ってたんじゃない?」

「あの人?」


「えっと、誰だったかな?でも、颯真くんのお母さん!」

「…………………あ!美紀子さん!」

そうだよ。美紀子さんなら私と颯真が幼なじみで、常に一緒にいた事も知ってたはず。


なのに、なぜ颯真が記憶をなくしたときに、私の存在を言わなかったのか。

もしや、言えない何かがあったのか。

「その美紀子さんなら、颯真の事故のことも知ってるんじゃない?」

確かに…………。

知ってどうするって話だけども。

でも…………………………知りたい。

私の知らない空白の時間を。


「確か申請を学校と寮の方に出せば、外に行けたはずよ?」

「…………………私、美紀子さんと会ってみる」

会えるか分からないけど。

試してみる価値はある。

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