何度でも


















教育合宿初日。

____9時半に学校を出発した私たちは新幹線を乗りつぎ、12時頃にはホテルに到着をした。

「各自部屋の代表者にカードキーを渡します。部屋割りに関しては先程紙を渡したのでそれを見てください。13時までは部屋で休憩し、13時までに1階の講堂ホールまで現地集合してください。以上!!」

代表の先生がそう言うと、一時解散になった。

部屋割りはさすがに理沙とは離れてしまったけど、同じ部屋の子がなんと外部入学で入ってきた林美華子(はやし みかこ)って女の子。

一緒の境遇だった子の方が気楽でいいかも♪


「理沙また後でね」

「あぁ」

理沙と離れて、ひとまずその子を見つけに探す。

確かC組でショートカットの子だったよね?

顔は曖昧なんだけど……………見たら思い出すかも。

取りあえずC組が集まっているとこに行ってみる。

C組の人たちはA組の人たちよりはなんと言うか…………うん、大人しい。

無駄にA組の子たちがはしゃいでるからそう思うだけかもしれないけど、下のクラスに行くほど、こうゆう雰囲気に感じる。

「すいません。林美華子さん見かけなかったかしら?」

「………………っ!!……………林さんならあそこにいるけど?」

何だか素っ気ない態度のその女の子。
 
まぁ、きっと理沙のようなクールなタイプなんだろう。

「ありがとう」

その子の指差す方に林さんはポツンと1人でいた。

「林さん」

「……………へ?あ!!し、四ノ宮さん……………」

急に話かけたからか、少しビクビクしてる。

「部屋一緒だから、よろしく。カードキーは先生から貰ったから今から行こう?」

「う、うん」

何ていうんだろう…………………この子こんな雰囲気の子だっけ?

失礼かもしれないけど、まだ入試や入学説明会とかで会ったときは、もう少し明るくてハキハキしていた感じの子だった気がするんだけど。

まぁ、どうでもいっか。

「ここにカードキーをかざすのね?あ、スゴイ!出来た」


今時って感じで、センサーにカードキーをかざすと、ピッという音が鳴ったと同時にロックが解除された。

中も流石って感じで………………。


「綺麗!!!!!そんで広い!!!!」


これ2人部屋ですか!!??って感じ。


ベッドも肌触り最高だし、眺めだっていい。

高いだけあるなぁ……………って実感させられる。


「確か13時までに講堂集合でそれまで休憩だったよね。ここを12時45分ぐらいに出たらちょうど講堂に10分前につくから、そのぐらいの時間がピッタリか」

政治家の話は2時間もするらしく、正直面倒くさいなぁって思うけど、聞ける機会なんてそうそうないし、聞いといて損はない。

どうやら政治の話や、経済のことについて話をするらしく、経済に関しては少し興味があるかも。


「四ノ宮さん…………」

「ん?なーに?」

「A組って楽しい?」

「んー………、楽しいか楽しくないかって言われたら困るけど、何気に充実はしてるかな。理沙が居てくれてるのもあるかもしれないけど、クラスの人とも少しずつ話せるようにはなって来てるから」


とか言って、まだクラスの男子しか話せてないけど。

女子とかと話がしてみたいなぁ……………。待っていても何も変わらないし、後で話しかけてみようかな。

「……………そっか」

ん?

なんでそんな顔するの……?

羨ましそうな悲しそうな。

「私も可愛かったり、頭がもっとよかったら、何か変わってたのかな」

急にどうした?

「それは関係ないと思うけど……………」

「関係あるよ!!!!」

うぉっ!!!

ビックリした…………。

「あ………………ご、ごめん………………私…………」

よく分かんないけど何かあったのかな?

「別にいいよ。そういえば林さんは何でこの学園に来ようと思ったの?」

「………………………私、検察官になりたくて。小さい頃にお母さんに連れられて裁判を傍聴したことがあって。被害者はお母さんの友達の息子さんだった。殺害されて、犯人が有名な企業の息子だったの」

有名な企業の息子………………。


「そいつは親の権力を使って事件をもみ消しにしたわ。謝罪なんてありはしない。お金だけで解決したのよ。その時の友達のお母さんの悲しそうな顔が忘れられなかった。もみ消しにしようとした加害者側も最低だけど、それを承認し闇雲に消えさせたや裁判官や告訴を取り下げた検察官のやつらも許せなかった。だから、不正なんて絶対に起きない権力なんかに負けない検察官を目指したい。この高校だと大学レベルの授業をしてもらえ、司法試験に向けての対策もしてくれるそう。最短で有力な検察官になることが可能って聞いた。だからここに決めたの」


いい夢もってんじゃん。

ってか、この企業の人最低だな。


「そうなのね。いいじゃん!ってか、ハッキリ言えるんだね」

「あ………その………」

「別にそんな動揺することじゃないよ(笑)今みたいにハッキリ言ってた方がきっといい。思いも伝わる。そうゆう素敵な夢があるんなら、なおさら頑張らなきゃ!」

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