何度でも

side颯真




正直、四ノ宮には無理だと思った。

確かに頭が良いが、英語の発音にはやはり学園のものには劣ると思ったし、何よりあの教育合宿のとき忘れたとはいえ焦っていたからだ。

苦手なんだろうってそのとき思った。


だけど、こいつは見事に会話してみせた。

しかも、流暢は完璧。

全てを理解して話してる。


仕掛けた神無月さんも会話の速さについていけず、『なんで!!??』って顔をしてる。

しかも、その後はドイツ語で話し始めるし…………こいつどんな頭してんだよ?

習い事で普通こんなの習わせるか?

俺だったら会社のこともあるしまだ分かるが、一般のコイツに?


「あ、ドレスありがとうね!それにしても、サイズがピッタリ過ぎてキモいんだけど……………」

「そりゃ、大体見ただけで分かるしな〜」

あと、後ろから抱きついたし。

「この女たらしが」

「まぁ、約束通り縁きったしもういいだろ?」

神城からはそりゃあもう驚かれたよ。


『頭うったのか!?』とか、『病院に行こう!』とか言って精神科に連れて行かれそうになったり……………。

そんなにおかしいか?

女遊び止めろとか、本気になれって言ったのコイツだろ?

「あ、もうこのままホテルに一緒に泊まるか?(笑)」

「嫌でーす。この変態」

「え〜、手っ取り早く俺のこと好きにならせれるのになぁ」

「はいはい」

一応彼氏なのに冷たくあしらわれる俺………………。

でも、今までの女とはない会話だから、このふざける感じが楽しい。









結局、この日は寮に戻った。
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