何度でも










 ✽


「ついたー!!!」


夏休み。

私は理沙と一緒に実家へ帰省した。


アレから帰っていないから、会うのは3ヶ月ぶりになる。


「なんか会うの緊張するー!久しぶりだからかな?」

「かもね(笑)私もお母さんと久しぶりに会えるからワクワクしてる」

もちろん宿題は山ほど出てるが、唯一リフレッシュ出来る時が、実家に帰省してる時間なのかもしれない。

「お祖父さんは帰ってくるの?」

「あー………たぶん。でも、忙しかったら帰ってこないかもね」

「そっか。私のお父さんも私が帰省してる間に帰ってくればいいけど…………」

大体お盆とかだからね。

私は1週間だけだから、予定が合わないかも。

「あ、私こっちだからじゃあね!」

「うん」

理沙と別れて、家へ向かう。

よく歩いていたこの道。

まだ懐かしさなんて感じないや。

いつでもあの頃に戻れそうな、そんな感覚になる。


あ、あった。


______ガチャ。

「ただいまー!」

「美桜!おかえりなさい!」

リビングの方からお母さんが元気にかけよってきた。

「疲れたでしょう?美味しいご飯作ってあげるから、部屋に荷物を置いたあとリビングでゆっくりしなさい」

「うん」

お母さんに言われるがまま、部屋に行き、荷物を下ろす。

この家を出ていってから、何も変わっていない私の部屋。

掃除をしてくれているおかげが、ホコリもなく、とても綺麗な状態だ。

お母さん…………………1人で寂しくなかったかな……。

私もお父さんも家にいないから、いつも寂しい思いをさせてるに違いない。


「お母さん」

「あら、美桜!お菓子がほしいの?」

「ううん。何か手伝うよ!」

『私が台所に来る=お菓子』かよ!!笑

「え!そんな、悪いわよ。ゆっくりしてなさい」

「手伝うって。ほら」

「……………ありがとう。じゃあ、それお願いするわね」


そう言うとお母さんは優しく微笑んだ。

「そういえば学校はどうなの?」

「普通だよ?習い事していたからかな。今は大丈夫そう」

「そうなのね。あ、颯真くんは?元気だった?」

…………………そうか。お母さんはあのことを知らない。

きっと言ったら悲しむだろうな。だって、美紀子さんが昏睡状態なんだもん。

「美桜?」

「え?あぁ……………元気、だったよ!」

ごめんね。お母さん。

「それなら良かったわ。きっと忙しかったのね!仲良くしなさいね?」

「もちろんよ」

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