春になったら君に会いたい
のぞみに告白した翌日、俺が喫茶店でバイトをしていると、よく見知った顔が現れた。
「冬、来たよー」
正晴は、どこで知ったのか、俺のバイトしているタイミングを見計らって、ちょこちょこ喫茶店に顔を出す。大方、叔母さんが情報提供しているのだろう。まあ別に問題はないが。
「お、正晴くん、いらっしゃい。いつものセットでいい?」
叔母さんは正晴を見ると、にこにこと笑ってそう言った。正晴は、俺の母さんとも親しいが、叔母さんとも仲がいい。いつの間にやら仲良くなっているから驚きである。
「あ、はい、お願いします。あと、ちょっと冬借りたいんですけど」
「うん、ちょうど冬も休憩の時間くらいだし、借りてっていいよ」
本人の意思とは関係なく、俺は正晴に借りられることになったらしい。まあ、俺としても正晴に服装の相談をしたかったので、ちょうど良かった。
正晴は慣れた感じで窓際の席に座った。そして、俺に正面に座るよう促す。それに従って俺も腰を下ろした。
「冬さぁ、昨日だったんでしょ、告白」
なんでもないように正晴は言った。窓から入る光が、その整った顔を照らしている。
「まあな。とりあえず気持ちは伝えてきた」
「そっか、どうだった?」
「のぞみ、喜んでくれてた。あと……のぞみも俺のこと好きだって、言ってくれた」
恥ずかしくて後半はボリュームが下がる。正晴の顔を見れば、なぜだか嬉しそうに緩んでいた。いつだって寄り添ってくれる正晴だから、きっと思うところがあったのだろう。