春になったら君に会いたい
それから、春の間、俺はバイトをしたり、どこかへふらっと出掛けたり、正晴と遊んだりした。
バイトは、叔母さんの営んでいる喫茶店でやっている。
去年から始めたバイトなのだが、人見知り気味な俺には初めは結構大変だった。今年は二回目ということもあってか、戸惑ったりせずに動けている。
正晴と約束したスイーツ専門店には、無事に行くことができ、いろんなスイーツを堪能してきた。正晴とは他にも遊園地に行ったりして、一緒に遊んだ。
また、のぞみの見舞いにも頻繁に行った。
バイトは週四だし、他にも空いている日には単発の仕事をしたりしているが、それでも暇な時間は結構ある。
退院の前日に言っていた通り、いつ行っても歓迎された。
のぞみの見舞いをするようになったことを除けば、今までと変わらない春。
しかし、のぞみと出会ったことはとても大きい気がしている。
楽しいと思うことが増えて、ほんの少しだが前向きになってきた感じがするのだ。
それはのぞみも同じようで、初めてあったときより目の輝きが増したように見える。
少しずつではあるが、俺たちはお互いに影響しあっていた。
そして、季節は飛ぶように過ぎ、夏を迎える。