春になったら君に会いたい
それなら、俺はどう対応するべきだろう。
無理やり聞き出してもいいが、のぞみが余命のことを話してくれた時と同様に、苦しい思いをさせてしまうのではないかと怖くなる。
話の流れで上手く聞き出すというのも手だが、俺にそんなスキルがあるわけがない。せめて、正晴がいてくれたら別だが。
なかなかいい案が考えつかない。しかし、無視するということは俺には考えられなかった。
「冬くん? どうかしたの?」
「え、いや何でもねぇ。ちょっと考え事をな」
今度は、俺がぼーっとしていたらしい。逆になってどうする、と頭の中でセルフツッコミをかまして意識をのぞみに戻した。
「あはは、そっか。もしかしたら、冬くんも眠くなっちゃったのかと思った」
「まさか。むしろ、目ぇパッチリだわ」
「じゃあ、何考えてたの?」
微笑んで聞いてくるのぞみの髪が揺れた。珍しく今日は二つに結いている。そうしていると、いつもより少し幼く見えて可愛い。
「んー、二つに結いてるの可愛いなあって」
「……!」
素直に答えるわけにもいかず、ちょうどそのタイミングで思ったことを口にすると、のぞみの頬が真っ赤に染まった。恥ずかしそうに口元を押さえたりもしている。