【完】俺が幸せにしてやるよ




「でも、陽葵が生まれて陽葵の分も養わなきゃいけなくなった時そういうお金が無くて⋯⋯。



でも、決してめんどくさいとかじゃないの。私たちと貧乏な生活をして苦しい思いをするより施設に入った方が快適な環境の中で育ってくれるかなと思ったの」




「じゃあ、なんで企業が成功した時私を戻してくれなかったんですか??」



香織ちゃんが生まれた時にはもう成功してたとってことでしょ??



「戻そうとしたわ。ちゃんと施設に行って陽葵を育てようと思った。



でも、当たり前のことだけど陽葵は1歳。人見知りの時期で波瑠さんに陽葵は懐いてて私が来ても泣くだけだった」




「え、もしかして⋯⋯」




ちゃんと育てようとしてくれてたってこと?




「私の根気が足りなかったの。また大人になってから行こうと思ってた。



でも、拒否されたらどうしようってなってて。怖くて。そして、ちゃんと育てようと決意できたのが去年」




去年⋯⋯?去年って⋯⋯。




「でも、施設に陽葵はいなかったわ。引き取られたって」




そう。翔さんと千春さんに。




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