素直じゃないね


そんな捨て台詞とともにわたしの傘を奪って校門の方へと歩いていく。



わたしはなにも言い返せずに、そんな背中をただ見つめるだけ。


始まりも突然だったけど、終わりも突然だったな。


あっけない終わりかた。



……いや。


好きだと告白されてうなずいたとき、わたしは考えていた。


これから始まる関係なのに終わりのことを。


終わりの始まりだな、って。




「なんだよあれ……莉里へーきか」



「わたしの傘……」



「え、そこ? 第一声それ?」



ぼんやり遠くを見つめていたわたしの目の前に立たれて、びっくりして視線をあげる。


背の高い永瀬くんは視線を合わせてくれるように少し屈んでくれた。



近くなった距離にお互いの顔がよく見える。



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