HEROに花束を(完)
いつものように食卓を家族で囲む。
「いただきます。」
お豆の煮物をお皿に運びながら、我が家の食卓を見回す。
わたしの隣にお姉ちゃん、前にばあちゃん、そして斜め前にお母さん。
そう、わたしの家族には、お父さんがいないんだ。
「あ、なっちゃん。」
お母さんがお姉ちゃんの名を呼ぶ。
「今日、ね?」
「あ、うん、わかってる。途中でなんかケーキでも買ってくわ。」
お姉ちゃんはさばさばと答えた。