HEROに花束を(完)
「のろのろしないで早く行きなさいよ。結構遠いんだから。」
「わかってるって。父の日祝ってあげるから。」
「気をつけて行くのよ。」
「はいはい。」
お姉ちゃんは携帯をいじりながら答える。
お姉ちゃんは月に二回、お父さんに会いに行っている。
「大輝さんによろしくって伝えておいてね。」
ばあちゃんが言う。
「あ、わたしからも。」
わたしも続いて言う。
「はいはい、わかってるから。」
そう言ってお姉ちゃんは白米を口にお茶で流し込むと立ち上がる。
「じゃあ行ってくるわ。」
「いってらっしゃい。」