HEROに花束を(完)


桜の根元で、声を上げて泣く。


喉がかれるまで泣く。



通行人はわたしの周りを避けるように通って行く。



また、わたしは急流の小石に戻ってしまった。


何もできない、ただの小石に…。



「お父さん…お父さん…。」



ばかみたいにその名を繰り返す。


どこかのアルバイトのお姉さんが、「今日は父の日限定サービスでーす!!」


なんて叫んでいる。



「お父さん…お父さん…お父さん…」

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