HEROに花束を(完)
「っ…悠っ…悠しかいな…っいの…。」
声が震えてうまく言葉が出てこない。
「っ…穂花、お前今どこにいる?」
悠の心地よく低い声が聞こえてわたしは顔を上げる。
「桜の…木のした…っ。」
「桜…?」
わたしはぐったりと携帯を離した。
コツン、と音を立てて転がった携帯の中から、悠がわたしの名を呼ぶ声が聞こえる。
「おと…うさ…ん…の下…」
ー悠は答えてくれるのに、なんであなたは振り返ってくれないの?