HEROに花束を(完)
どうやって考えればいいのかわからなくて。
様々な感情が交差して喉の奥に何かがつっかえている。
気持ちが悪い。
今朝食べたフレンチトーストが今にも胃の中から嘔吐物となって吐き出てきそうだった。
脳裏で桜がひらひら舞う。
その甘ったるい奥には、爽やかに笑うお父さんと、わたしの知らない女の子。
「今日、たまたまこいつと話してたから、一緒に居合わせる形になるんだけどな。」
「…本当に…ごめんね。」
申し訳なさそうに目を伏せるのは、わたしの人生を狂わせた人。
そんな顔しないでよ。
どうして…どうして…その顔をするはずなのは、このわたしなのに…。
こめかみを押さえながらうつむく。
わたしは、どうすればいいの…?
「あの…少し…話せるかな?」
華麗な鈴のように透き通った声がどこかで聞こえるけれど、私の体はその音色を拒んでいる。
体が彼女を受けつけていない。
まるで海底の奥に引きずり込まれているようだ。
心臓が、痛い。
まるでひまわりみたい優しいこの子が、わたしは世界で一番嫌いだ。