HEROに花束を(完)

「今日はお仕事があるから、また今度な。」


お父さんは小さく微笑むと、背を向けた。


それから、お父さんはお仕事に行くことが多くなって、なかなか二人で遊ぶことはできなくなった。


夜遅く家に帰ってくると、わたしは布団から抜け出して真っ先に玄関に駆けて行った。


「お父さん!おかえり!」


そういえば、お父さんは、


「ただいま。」


っていつもみたいに笑ってくれる。



だから、わたしは安心してた。



絶対にお父さんはわたしに笑い続けてくれるって、勝手にそう信じていた。
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