HEROに花束を(完)
「もう、ほんっと潤気持ち悪いんだもん。あの服でどこうろついてんのかも知らないし。取りに来いって今連絡送ってるとこ。」
だけど、付き合ってる相手のことをこんなにも気持ち悪いって言えるのは、もうそれだけ仲が良いってことなんだよね。
わたしはそんなお姉ちゃんに小さく笑うと、自室に入った。
でもね、こんなに辛口なお姉ちゃんだけど、
心の芯はとっても優しくて、
本当はわたしのことをすごく気にかけてくれていている。
受験の時も付きっきりで向き合ってくれた。
本当に自慢のお姉ちゃんなんだ。
わたしは机にいつものノートを広げると、パラパラとそのページをめくった。
描き始めたのは数年前。
それからはもうずっと必需品になっている。
淡い桃色のそのノートの端は少しすり減っていて、一度だけ水をこぼしたことがあるから表紙は少しだけガタガタしている。