HEROに花束を(完)

お父さんはそのままうずくまってしまった。

お義母さんがバタバタと駆け寄ってきて、お父さんを寝室に連れて行ったのを覚えている。


わたしはただ、お父さんに解かれた腕をだらんと垂らして立っていた。


零れ落ちてきた涙は絵にシミを作り、お父さんの姿を消してしまった。








その日を境に、お父さんは笑いかけてくれなくなった。








< 173 / 537 >

この作品をシェア

pagetop