HEROに花束を(完)
もう一度、あなたと
ーカラン、コロン
悠がコップの氷をかき混ぜる音だけがやけに大きく耳に響く。
小さく咳払いをして、悠がメニューに手を伸ばす、
「えっと〜、俺はホットケーキにしよっかな。お前らは?」
無言が続く。
「ん〜っと、じゃあホットケーキ三つでお願いします。」
悠が一人で注文する。
「飲み物忘れてた。」
悠はメニューを開くと、わたし達を交互に見つめる、
「レモネードいるか?」
また沈黙がその場を覆う。
「んじゃ、いっか。」
悠がちらっとわたしを見るのがわかったけれど、
わたしの視線は自分の手の一点だけを見つめている。
ー早く帰りたい