HEROに花束を(完)
どのくらい時間が経ったのだろうか。
永遠のようにも思えた。
「ちょ、ごめん。俺トイレ行ってくるわ。」
そんな時、ずっと一人でしゃべり続けていた悠が立ち上がった。
うそでしょ…。
今行かれてしまうと、これこそ地獄だ。
丸いテーブルに椅子が三脚。わたしと美菜が両方共悠寄りに座っているのは確かだ。
それだけ心が離れている証拠。
悠は一瞬わたしを見たけれど、結局何も言わずに本当に行ってしまった。
服が冷や汗でじっとりと背中に張り付く。
心臓の音がさっきにもまして大きく、はっきりと聞こえる。
少しでも動いたら音が出てしまうような、息をしていることでさえもどかしくなるほど、わたしたちの間の静けさは気まづいなんてものじゃ表せないほどだった。