HEROに花束を(完)
「…言えなかった。」
美菜ちゃんがショートボブの髪を耳にかける。
小さい頃からの緊張した時のくせ、まだ変わってなかったんだね…
なんて、何を考えてるんだろう、わたし。
「とてもじゃないけど、言えなかった。」
わたしは拳を握り締める。
「穂花が、傷つくのわかってたから…言えなかった。」
「っ、そんなっ!言ってくれてたら、こんなに落ち込むことなんてなかった…!」
思わず大声を出す。
「美菜ちゃんがっ、大好きだったから…っ…ねえ、あの後、わたし、人間不信になったんだよ?もう誰も…信じられなくなったんだよっ!」
そう叫べば、美菜ちゃんはボロボロと泣き出した。
「ごめんっ、っ、ごめんっ…本当にっ…ごめんねっ。」