HEROに花束を(完)
目の前に立っていると、悠の背の高さがよくわかる。
それに、ほどよく筋肉も付いていて、部活をしていないのが不思議っていうくらい、『運動部です!』っていう見かけ。
そりゃあ…みんなの心を惹きつけちゃうよなあ…
夏の夜のそよ風が優しくわたし達の間を通り抜ける。
悠は少し視線をずらして、頭を掻きながら言った。
「今日のお前…なんか違うな。」
「えっ。」
そう言って服を見れば、今日お姉ちゃんに無理やり普段は着ないようなかわいい服を着させられた事を思い出す。
淡い桃色のワンピースが風で揺れる。
短いくせ毛の髪が頰に当たる。
「変…だよね。」
そう言ってうつむけば、悠がため息をつく。
「バーカ。かわいいっつってんの。」
「えっ?」
今度こそ素っ頓狂な声を上げる。