HEROに花束を(完)
「それだったら勉強しなさい。」
やっぱりそうなるか。
「はあ…い。」
「返事は短く!」
「はい。」
苦笑しながら起き上がると、自室へ戻る。
夏に入るとお母さんの機嫌も悪くなる。
もともと夏が大嫌いなお母さんは、夏にお金を取られてたまるか!って言って常にエアコンを睨んでいる。
新しいエアコンに変えればかかるお金も少なくなるのに、そういうところだけは頑固なお母さん。
ベッドに身を投げて、まくらを裏返して冷たい部分をお腹に当てる。
千秋ちゃんは今旅行中でいないし、お姉ちゃんは潤くんと二人でラブラブに出かけていってしまって留守だ。
ばあちゃんもなんだか親睦会のようなもので家を空けていて、あと半時間でお母さんもママ友会のようなもので家を出てしまう。
「暇だあー!」
そう言えば、地獄耳のお母さんのガミガミとした声が返ってきた。