HEROに花束を(完)
『遊べるよ。』
『今?』
『じゃあ公園で。』
そう返してわたしは急いで着替える。
悠が気に入ってくれた桃色のワンピースに腕を通す。
悠への気持ちを自覚してから、悠に可愛く見られたい、とか、今までだったら想像もしなかったような気持ちが芽生えてきた。
いつもだったら全く気にしない髪型も、もう一度鏡でチェックする。
悠は髪とか全然気にしないのはわかってるけど、それでも初めて恋する乙女心が掴めたような気がした。
わたしは適当にお財布と携帯を鞄に詰め込むと、一気に家を飛び出した。
あの日以来、悠とまともに話せていない。
学校では何かと忙しくて、夏休みになってからは、悠は二泊三日の家族旅行に出かけてていなかった。
だから緊張しているし、ドキドキだってする。
でも、それよりも、悠から誘ってくれたことが嬉しくて、その気持ちが不安を抑えていた。
その不安の理由はもちろん、彼の返事なんだけど…