HEROに花束を(完)
きっと、彼にはわからない。
わたしが一人で食べているときの気持ち。
哀れんでいるんだろうな、きっと。
寂しそうだな、って思ってるのかもしれない。
そんな時、子供達の群れの中で大笑いをしている彼と、
自然に視線が交差した。
すると彼はみるみるうちに目を大きく見開いて、
わあって、アメをもらった子供のように目をキラキラさせてこっちに歩いてきた。
「穂花!」
家族以外に名前で呼ばれることに慣れていないからどぎまぎする。
「お前もしかしてここらへんに住んでんの?」
よく見たらパーカーに穴が空いている。
どこまでおバカさんなの。
「おーい。」
不意に顔が近づいてわたしははっと我に帰る。