HEROに花束を(完)
そういえば、わたしは悠の家庭のことを何も知らない。
悠には今までたくさん助けてもらったけれど、わたしが悠を助けてあげたことなんて一度でもあっただろうか?
わたし、いつも悠に迷惑かけてばかりで、悠のことを何一つ知らない。
「悠…わたし、悠のことが知りたい。」
そういえば悠が一瞬だけ動きを止めた。
いつの日だったか悠がわたしにそう言ってくれたのを思い出す。
すごく幸せな気持ちになったから、わたしも悠に幸せを返したい。
「まだ悠のことはあまり知らないし、いつも迷惑ばっかかけてた。」
「そんなこと、」
「でもね、今のわたしは違うんだよ。」
わたしは悠を遮って尚も言う。
「悠のおかげでわたしは変われた。だから今度はわたしが悠を助けたい。」