HEROに花束を(完)
ちらっと横を向いた悠の頰に流れていた雫は、海の水か涙だったのか、わたしは今でもまだ、わからない。
悠は時々、すごく悲しそうな顔をする。
前も、学校で一人窓の外を眺めていた。
わたしは悠のことを全然知らない。
これから少しずつ、知っていきたい。
「あっ、ボードだ!」
わたしが言うと、悠はぷかぷかと浮くボードの横まできて、
「俺の首に捕まってて。」
と言って、ゆっくりと体を回転させた。
そのおかげで、わたしは悠と向かい合うようになってしまった。
わたしは悠に抱きついているようだし、もう恥ずかしさでパンクしそうだ。